囲い込みをする仲介は、さまざまな方法で両手取引を狙います。
両手取引のために囲い込みをしている仲介の手口は、不動産売買の業界で知らない人はいないでしょう。しかし、実際に不動産を売却するオーナーが囲い込みの内容を知っていることは残念ながら少ないのが実情です。

「大手の不動産会社だから大丈夫だろう」「担当の営業はいい人だから安心だろう」

囲い込みはオーナーの信頼を裏切る不正行為で、深刻な社会問題として表面化した不動産業界の闇ともいわれています。
囲い込みの方法を知ることで、売却する不動産を守ることができるため、囲い込みの内容を公開します。

囲い込みの手口

囲い込みとは

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囲い込みとは、売主・買主の両方から仲介手数料を得る「両手取引」のために、他社への売却情報の提供を拒んだり、他社からの購入希望者の紹介を断るなどの情報操作をすることです。
囲い込みが不動産の売却におよぼす悪影響は不動産業界で根深い問題となっています。

囲い込みの手口① 高額な査定価格

査定価格の競争から囲い込み

不動産を売却するときに、一括査定などで複数の仲介会社で査定価格を比較する方法は間違いではありません。しかし、高額な査定価格につられて仲介を依頼すると囲い込みにあう可能性が高いため、査定価格が高いからという理由で売却を依頼する仲介を選ぶのはやめておいた方が良いでしょう。

査定価格

不動産の査定価格は市場の取引相場を基に、マンションや戸建の土地・建物などの特性を評価し算出したものです。

査定価格は仲介が「この価格で売れるだろう」と予想する金額であり、実際に売却できる価格を保証するものではありません。

高額な査定価格を提示されたオーナーは、ご所有の不動産が高い金額で売れると言われれば悪い気はしないでしょう。しかし、一部の仲介では売却の依頼を受けようと固執して、市場の相場とかけ離れた売れる可能性がない高額な査定価格を提示することがあるのです。
担当者は内心では売れるとは考えておらず、囲い込みによって時間の経過とともに売出価格を値下げし、自社の顧客が購入する相場近辺の価格で売却することで両手取引を見込んでいるのです。
このように高額査定で売却の依頼を受け、自社の顧客に売却できる価格まで値下げするための囲い込みのことを”塩漬け”といいます。囲い込みで塩漬けされると、無駄に時間を浪費するうえに、本当なら売却できた金額を下回る事態にもなりかねません。

オーナーの気持ちにつけ込む囲い込みを防ぐためにも、売買の事例に基づく相場などの根拠や、仲介会社の方針を営業担当者によく説明してもらい、高額な査定価格に惑わされないことが大切です。一括査定は複数社の仲介を比較するために利用するのがオススメです。
詳しくは、【査定価格と売却価格の違い】をご覧下さい。

囲い込みの手口② 仲介手数料の割引

仲介手数料の割引は囲い込みが前提

不動産を売却するとき、仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は売買の成功報酬として支払いますが、仲介手数料には物件の調査費用、販売にかかる広告費、宅地建物取引士の給料などが含まれています。この仲介手数料を半額や無料と割引く仲介会社では囲い込みをするのは容易に想像できるでしょう。仲介手数料が安くなるという理由で売却を依頼する仲介を選ぶのは得策ではないのです。

仲介手数料

仲介で不動産を売買すると仲介手数料がかかります。
仲介手数料には法定上限が定められており、売買価格に対するパーセンテージで計算します。

仲介手数料法定上限の計算式

・売買価格 200万円以下の部分 売買価格×5%+消費税

・売買価格 200万円〜400万円以下の部分 売買価格×4%+消費税

・売買価格 400万円を超える部分 売買価格×3%+消費税


仲介手数料を半額・無料に割引するという仲介は両手取引を前提に囲い込みをします。囲い込みで自社が買主を見つけて両手取引することを前提に仲介手数料を割引くのです。「囲い込みをされても割引があるならお得」と感じるオーナーもいるでしょうが、それは間違いです。仲介手数料は売買価格に対してパーセンテージで計算するため、仲介手数料の割引と引き換えに囲い込みで売買価格が安くなればオーナーは大きな損をしてしまうのです。

オーナーの手元に残る金額の計算
・売買価格 − 諸経費 − 仲介手数料 = 手元に残る金額

囲い込みをされてしまうと問題は仲介手数料どころの話ではありません。両手取引を狙う仲介が自社のみで買主を見つけて売買を成立させるために囲い込みをすれば、買いたい人が買えない売却の機会損失が生まれ、価格の低下・期間の長期化などの事態を招く危険性があるのです。また、囲い込みの状態では自社内で買主が見つからないだけなのに値下げを提案されるため注意が必要です。

仲介手数料を割引く看板や広告は、両手取引をするために囲い込みをするという宣言と同じです。半額・無料など仲介手数料の割引という目先のお得感で仲介を依頼してしまい、囲い込みによって売却後に手元に残る金額が減ってしてしまうようでは本末転倒です。
詳しくは、【仲介手数料の割引が不動産売却に悪影響】をご覧下さい。

囲い込みの手口③ 「今すぐ売れる」は決まり文句

媒介契約をしてから囲い込み

不動産査定や売却相談に訪れた仲介の営業担当から「買いたい人がいます!」「探している人がいます!」と言われるオーナーは多いのではないでしょうか。仲介会社から届くチラシやDMにも「探しています!買いたい人がいます!売ってください!」という誘い文句がありますが、売却の依頼(媒介契約)をもらうことを目的に「顧客が大勢いるので、すぐに売れます!」と売主の心理に訴えかける手法であり、仲介では挨拶がわりの決まり文句です。

「今すぐに売れる」というオーナーの期待をあおるグレーな営業方法で、「買いたい」という購入希望者が本当でも嘘でも「他の物件を購入した」の一言で片づけることができるためオーナーが事実を確かめることはできないことも常套句として使われる理由です。顧客に購入希望者がいても、いなくても、仲介という立場を利用していくらでも嘘の口実をつくることができるのです。
この営業方法の怖いところはオーナーの気持ちに訴えかけていることです。「顧客も大勢いると言っているし」「人気だからすぐに他の買主が見つかると言っているし」「担当営業も頑張ってくれているし」と一度、媒介契約を結んでしまえばオーナーが簡単にやめると言い出せなくなるため、囲い込みに気付くことが難しくなることを仲介は知っています。囲い込みで売却活動を長期化させてしまい、結局「売れると言っていた価格よりも大幅に値下げして売却した」と後悔しても後の祭りです。

仲介で売却を成功させるためには、「顧客が多いか」よりも「売却情報をより多くの潜在的な顧客に届ける」ことが大切です。媒介契約を目的に嘘をつく仲介がいることを想定して、囲い込みをされないように注意しましょう。
詳しくは【仲介会社のチラシやDM】をご覧下さい。

囲い込みの手口④ 広告は後まわし

広告はすぐにしない囲い込み

広告には大きく分けてポータルサイトなどのインターネット広告、チラシやDMなどの紙媒体の広告があります。近年ではスマートフォンの普及に伴い、購入希望者に売却情報が直接届くインターネット広告の効果が大きくなっていますが、全てのポータルサイトへ広告掲載を約束する仲介はまずいないでしょう。ポータルサイトへ広告掲載するのに費用がかかることもありますが、大抵の仲介では実績があり自信があるポータルサイトを選んで広告を掲載します。

ポータルサイト

SUUMO(スーモ)・athome(アットホーム)・HOME’S(ホームズ)・オウチーノ・Yahoo!(ヤフー)不動産 etc.


不動産の売却を仲介へ依頼するときには、広告をはじめとする販売戦略の説明があります。オーナーは「広告をしっかりしてくれるなら売れるだろう」と売却を任せますが、一部の仲介では両手取引のために、自社の顧客への紹介や自社で購入希望者を探す時間を優先するために、広告を開始する時期を意図的に遅らせて囲い込みます。特に情報の発信力が高いインターネット広告を遅らせることが多く、オーナーが気付いて指摘されればインターネット広告をはじめる仲介もいるようです。

売却のために売り出す不動産の中には、対外的な広告活動を行う前に仲介会社の既存顧客により成約に至るケースが相当数存在します。しかし、仲介一社の顧客の数は売買市場の潜在顧客の数に比べれば極めて少数です。広告によってより多くの潜在顧客に売却情報が届いていれば、もっと高く・もっと早くに売れるかもしれません。
広告が適切にされなければ大切な不動産の売却情報は浸透しないため購入希望者に知ってもらうことができません。両手取引に拘った売却情報の囲い込みで広告がされなければ、より良い条件で売却したい売主、購入したかもしれない買主、双方にとって利益の損失なのです。
詳しくは「広告で効果的に魅力を届ける方法」をご覧ください。

囲い込みの手口⑤ 他社の紹介を拒否

他社の顧客紹介を断る囲い込み

不動産の売却を依頼した仲介会社に、他の仲介会社が買主を紹介することができることを知っているオーナーは多くありません。この場合、売主側の仲介と買主側の仲介が交渉をするため、仲介手数料はそれぞれの仲介へ支払う「片手取引」となり健全な売買取引ができる特徴があります。

片手取引と両手取引

・片手取引 【売主・仲介】×【仲介・買主】

・両手取引 【売主】×【仲介】×【買主】

購入希望者を紹介してくれる仲介会社の数が多ければ多いほど、売却情報はより確実に購入希望者へ行きわたり、早く売却できる訳ですから売却したいオーナーにとって非常に有益な売却方法です。また、大手の仲介、中小の仲介どちらも世の中にいる購入希望の顧客全員を満たしているわけではないため、他社からの紹介は仲介会社が乱立する首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県)での売却で効果的です。

しかし、一部の仲介会社では両手取引を狙い、「契約予定」「売り辞め」など嘘の理由で他社からの購入希望者の紹介を意図的に断る囲い込みをすることがあります。両手取引を優先するために囲い込みが起こると、オーナーにとってより良い条件で売却できたチャンスを知らないうちに捨てたことになります。売主・買主が損をして仲介だけが得をする囲い込みにはデメリットしかないことを覚えておきましょう。

囲い込みの手口⑥ 買い換え事情の悪用

買い換えスケジュールの複雑さで囲い込み

買い替えは売却と購入を同時期におこなうため、スケジュールがタイトになりやすい特徴があります。
買い替えるときは先に購入すると急いで売却しなくてはならなくなることがあります。売却を急げば価格の低下してしまうため、「売却先行」で買い替えをすすめる方法が一般的ですが、「購入先行」で売却の期限を意図的につくる囲い込みがあるのです。
特に、買い替え前の家で住宅ローンが残っているオーナーや、売却資金を買い替え後の家へ充当したいと考えているオーナーは買い替えスケジュールに注意する必要があります。

買い替え

・売却先行 現在お住まい中の不動産を売却し、予算(資金計画)を確定させてから新しい購入不動産を探す方法

・購入先行 売却によって得た資金を使えないため、資金的に余裕のある場合に有効な方法

買換を考えるオーナーは「はやく新しい家に住みたい」「はやく買わないと売れてしまうかも」と購入を急ぎたくなるでしょう。しかし、売らなければ買えないオーナーは囲い込みのターゲットになりやすいのです。買換のために先に購入した後は、市況の変化や建物の状態などの理由をつけて売却物件の値下げを迫られるでしょう。両手取引のために囲い込み、売却しなければ購入もなくなるため安くても売らなくてはならない状況をつくられてしまうのが購入先行のリスクです。

買換では同時期に売却と購入する必要があるため、スケジュールや資金計画が複雑になります。住宅ローンが残っている場合や、売却資金を購入資金に充てたい場合には、売却できるまでは購入しないことが賢明です。売却先行であれば、囲い込みを防ぐことができるため買換はスケジュールや資金に余裕をもってのぞみましょう。

囲い込みの手口⑦ 契約予定や白紙解約

囲い込みされずに売買契約ができたと思っていても、契約でも囲い込みをされている可能性があります。
売却のご理由はオーナーによって違いがありますが、資金が必要になるなど「売却の期限」がある場合には契約を資料した囲い込みをされることがあるため注意が必要です。

  • 「買主が見つかった」とウソの”契約予定”をつくり売主を安心させて、売却活動そのものをおこなわず囲い込みする。
  • 「仲介が用意したサクラの買主」と売買契約し、違約金などのペナルティが発生しないタイミングで”白紙解約”する囲い込み。
売買契約

・契約予定 売買契約前なので違約金などのペナルティは発生しない

・白紙解約 売買契約後でも特約などの方法でペナルティが発生しないようにできる


ウソの契約予定やサクラによる白紙解約で囲い込みされると価格に悪影響します。契約予定や売買契約といわれて売却予定の資金をつかう予定をたててしまうオーナーもいるでしょう。売却価格を限界まで値下げするよう提案されれば、売却期限がせまり焦るオーナーは、相場よりも安い価格でも売却をするしか無くなってしまうのです。
実在しない買主の契約予定のウソ、仲介のサクラによる内覧や売買契約など、想像を超える手段をつかう仲介の囲い込みは不動産業界では有名な話です。

仲介が囲い込みをする理由は両手取引のためです。仲介手数料は売買価格に対するパーセンテージなので、売却価格が安くなれば仲介手数料も安くなるため仲介にメリットはないように思えますが、相場よりも値下げした売却価格であれば、自社が抱える顧客または買取会社に売却することができます。両手取引なら片手取引に比べ2倍の仲介手数料を多く受け取ることができるのです。

片手取引の仲介手数料
売主 売買価格3,000万円×3%+6万円=96万円+税

両手取引の仲介手数料
売主 売買価格2,000万円×3%+6万円)=66万円+税
買主 売買価格2,000万円×3%+6万円)=66万円+税 計132万円+税

さらに仲介に紹介された買取会社へ売却した場合、仲介は再販売の依頼も受け、ここでも仲介手数料を得ることができます。買主を自社で見つけられれば両手取引になり、再販売では価格も高く設定するため、2倍どころか4倍以上の仲介手数料をが入ることになります。両手取引にはうまみがあるため、売主を焦らせることで売却価格を値下げさせる囲い込みには細心の注意が必要です。
両手取引を狙う仲介は自分たちの利益や評価のために売主の利益を奪うのです。


ここまで「囲い込みの手口|両手取引を狙う仲介の囲い込み事例」についてご紹介いたしました。これでも囲い込みの手口の一部です。
「囲い込みなんて本当にあるの?」そう感じるオーナーもいるでしょうが、両手取引を狙う仲介の囲い込みは一種の詐欺であるため分からなくて当然です。囲い込みは宅建業法違反にはならないと開き直っている仲介もいるぐらいですが、民事・刑事では詐欺罪にあたります。しかし、売買という専門性によって、オーナーが囲い込みを見破ることは難しく、売却に余裕をもってのぞまない限り、囲い込みが起こったとしても泣き寝入りすることになってしまうでしょう。
囲い込みはオーナーと仲介の知識量による情報格差を悪用して起こります。仲介会社が囲い込みを禁止していても成績に追われる担当者が独断で囲い込みをする、担当者が囲い込みはしたくないと考えていても会社や上司の指示で囲い込みされることも。

大切な不動産の売却をまかせるのなら、片手取引を軸として仲介の基本方針・売却戦略を考えている会社への依頼がオススメです。
片手取引で囲い込みをしない仲介会社は「売却専門」に事業をおこなっていることが特徴ですが、近年では両手取引が可能な売買仲介が売却と購入を分けて売却専門チームと名乗っていることも増えました。また、囲い込みで有名な仲介がセカンドオピニオンとして売却を勧誘している広告もよく見かけるようになりましたが、誤解しないように注意してください。

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