住宅ローンを返済中に家を売却する方法
住宅ローンの返済中でも不動産を売却することができます。
住宅ローンの返済には数十年もの長い期間がかかりますが、住宅ローンを返済中にライフスタイルが変わる場合には「住宅ローンの残債が残っているから売却できない?」とお悩みのオーナーも多いのではないでしょうか。
不動産は住宅ローンを返済中で残債が残っていても売却できますが、オーナーの状況によって売却の方法に違いがあるのが注意点です。
住宅ローンを返済中に不動産を売却する方法について解説します。
住宅ローンの残債がある家を売る確認事項
住宅ローンを完済してから家を引き渡す必要がある
住宅ローンを返済中に家を売る場合には、住宅ローンを完済してから買主に家を引き渡す必要があります。
住宅ローンを利用して購入した家の登記簿謄本には、金融機関から「抵当権」が登記されています。抵当権とは、いわゆる担保です。住宅ローンを借りたオーナーの返済が難しい場合、金融機関はその不動産を売却して貸したお金を回収します。
もしも抵当権がそのまま次のオーナーに引き継がれた場合、売主が住宅ローンを滞納すると、引き渡した家が差し押さえられて、次のオーナーが家を失うリスクがありますが、通常そのような取引はおこなわれません。
住宅ローンを貸した金融機関と、オーナー(お金を借りた側)との間で契約書を交わし「抵当権」を法務局で登記します。住宅ローンを完済したら、今度はお金を借りた側が「抵当権」がなくなったことを法務局へ伝えて、登記を抹消します。それが「抵当権抹消」です。
オーナーご自身で手続きすることもできますが、間違いがあってはならないため司法書士へ依頼するのが一般的です。
住宅ローンの残債が残っている抵当権付の家を売却する場合には、家を売却したお金で、住宅ローンを完済して「抵当権」を消す「抵当権抹消」の登記手続きをしてから次のオーナーへ引き渡すという流れで売却をすすめます。
もちろん、住宅ローンの残債が残っている家の売却活動は自由におこなうことができます。
住宅ローンの残債(残っている)金額を調べる
ローン返済中に家を売却するためには、まず「住宅ローンがいくら残っているか」を確認しましょう。
残債の金額を調べる方法をまとめました。
住宅ローンの残債を調べる3つの方法
- 金融機関から発行される返済予定表
住宅ローンを契約すると、金融機関から「返済予定表」が発行されます。住宅ローンの残高のほか、借り入れ内容や返済予定日、ボーナスで返済する予定の金額、元金や利息などの内訳も確認することができます。繰り上げ返済などをおこなうと記載内容と差異が生じますが、何らかの方法で更新された内容を確認できるようになっています。不明な場合には住宅ローンを借りた金融機関に問い合わせてみましょう。 - 金融機関から郵送される残高証明書
住宅ローンを融資する多くの金融機関では、年末時点での住宅ローン残高を証明する書類を10月~11月中旬に郵送してくれます(【フラット35】の場合はあらかじめ郵送費用を支払い、郵送してもらうための手続きが必要)。住宅ローン控除を受けるときに勤務先に提出するのが残高証明書です。あくまで直近の年末時点での住宅ローンの残債にはなりますが、大体の金額を確認することができます。 - 金融機関のウェブサイト・アプリ
住宅ローンを借り入れたインターネットバンキングや金融機関のネットサービスに加入している場合は、ウェブサイトやアプリで手軽に確認できる場合もあります。ただし、住宅ローンを扱う全ての金融機関で残高照会をインターネットでできるとは限りません。調べても分からないときは、住宅ローンを借り入れた金融機関に確認しましょう。
家を売却できる金額を調べる
住宅ローンが残っていても、家を売ったお金で住宅ローンを一括返済できれば問題なく売却できます。
不動産売却が得意な不動産会社に家を査定してもらえば、いくらで売れるか(相場)を把握することができるでしょう。
ただし、不動産会社の査定の仕方に定められた基準があるわけではないので、1社だけではその査定額が適正かどうかは判断できません。複数の不動産会社に査定を依頼し、その査定結果を見比べる方法がオススメです。
また、仲介で売却する場合には買主との交渉によって売却価格が決まるので、査定価格と売却価格に違いがあることが注意点です。
家を売却して住宅ローンを完済できるアンダーローン
住宅ローンの残債を家の売却金額で一括返済できるケースを「アンダーローン」といいます。
例えば「2,000万円の住宅ローンが残っているけれど、3,000万円で売却できる」といった状況のアンダーローンなら、通常の手続きの流れで問題なく売却できるでしょう。
アンダーローンの不動産を売却する流れを確認しましょう。
- 売却するとどれくらいの諸費用がかかるか確認
- 不動産会社と媒介契約を結び売却活動をスタート
- 買主と条件が整えば売買契約を交わし決済と抵当権抹消手続へ
本来、住宅ローンを完済してからでなければ家を売却できないため、売却金額で住宅ローンを完済することはできません。しかし、買主・売主と住宅ローン担当者と司法書士が同席することで、住宅ローンの完済と売却を同時に成立させてすすめることが可能です。
- 司法書士 登記申請書類の確認
- 金融機関 買主へ住宅ローンを融資
- 買主 売主へ代金を振り込み
- 売主 売却金額で住宅ローンを完済
- 司法書士 抵当権抹消と所有者移転(買主)を登記
住宅ローンの完済と売却は以上の流れで手続が終了します。
不動産売買の取引では当たり前の手続きですので心配はありませんが、お金のことですから諸費用を担当者にしっかり計算してもらいましょう。
「利益が出た=収入があった」場合は所得税を払う?
「譲渡所得」は「売却した金額」から「取得(購入)するためにかかった金額」などを差し引いて計算します。
売却して利益がある場合は、所得税などの課税対象になります。
しかし、住宅の場合は『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例』を利用することで、売却したときの譲渡所得が3,000万円までは税金がかかりません。
譲渡所得の計算 売却金額−(取得費+経費)=譲渡所得
取得するためにかかった金額は、諸費用などの他、購入時の物件価格も含まれますが、減価償却分は購入時の価格から差し引かれます。
そのため、買ったときと同じ価格で売却した場合には、利益(譲渡所得)が出る可能性もありますが、3,000万円を超えなければ非課税です。
ただし、利益がなかったとしても確定申告は必要なので注意しましょう。逆に損失がある場合は、損失分を所得控除でき減税につながるケースも多いので、確定申告は忘れずにおこないましょう。
家を売却して住宅ローンを完済できないオーバーローン
住宅ローンの残債を家の売却金額で一括返済できないケースを「オーバーローン」といいます。
例えば「住宅ローンが3,000万円ほど残っているけれど、売却しても2,000万円」といった状況です。通常、家は購入直後から価値が下がっていくため、売却しても住宅ローンが返済できないことは珍しいことではありません。問題は「家を売却してどれくらい住宅ローンが残るか」「足りないお金をどうするか」という点です。
オーバーローンの不動産を売却する流れを確認しましょう。
- 売却するとどれくらいの諸費用がかかるか確認
- 不足分の資金をどうするか決める(貯蓄の持ち出し、住み替え、任意売却)
- 不動産会社と媒介契約を結び売却活動をスタート
- 買主と条件が整えば売買契約
- ・貯蓄で用立てる場合は残債を一括返済し、決済と抵当権抹消手続へ
・住み替える場合は新しく購入する家を探し、住み替えローンを利用
・任意売却する場合は金融機関に相談する(金融機関の言い値)
まずは、住宅ローンの完済にいくら足りないのか把握しておきましょう。
オーバーローンの状態で住宅ローンを完済して売却する3つの方法をご紹介します。
①貯蓄などで住宅ローンを完済する
住宅ローンの完済に売却金額が足りなくても、手持ちの資金で返済できれば売却できるので問題ありません。
②住み替えローンで家を買い替えてローンを一体化
転勤や転職、子どもの誕生などでライフスタイルが変わり、家を買い替えるケースはよくあることです。家を買い替えるのときには、次の家のローンと返済途中のローンをまとめることができる「住み替えローン」があります。
住み替えローンにはメリット・デメリットがありますので、慎重に検討しましょう。
・貯蓄に手を付けることなく住み替えられる
・貯蓄が無くても住み替えられる
・ダブルローンを組む必要がない
・住宅ローンの額が増える
・融資額が大きくなるので審査が通りにくい
・売却と購入の決済・引渡しを同日中におこなう
住み替えローンは、「売却する家の抵当権の抹消と、購入する新居の抵当権の設定を同時におこなう」という条件があるのが注意点です。
つまり、「売る日」と「買う日」が「同じ日」ということです。売却と購入を同時に進めるスケジュール面で条件がかなり厳しいため、たとえ住み替えローンの審査に通っても、タイミングが合わずに融資が利用できなくなるケースもあります。不動産会社の協力があったとしても計画どおりに進まないこともあるため注意が必要です。
また、住み替えローンは融資額が大きくなる分、ローンの審査がより厳しくなり、金利も高くなることが多いので、そもそもローンが使えない可能性もあります。
すでに住宅ローンで借りられる金額を限界まで借りていて繰り上げ返済もできていないという場合には、住み替えローンの利用は難しいため仲介か買取で売却をする方法を考えましょう。
③最後の手段「任意売却」を利用する
住宅ローンの返済が難しい場合には「任意売却」という売却方法で債務整理することができます。
任意売却なら、残債を一括返済できなくても不動産会社に売却を依頼できます。ただし、任意売却は誰でもできるわけではなく、不動産に市場価値があり、住宅ローンを借り入れている金融機関から売却金額に応じてもらう必要があるため注意が必要です。
そして、売却しても足りない分は、引き続き返済していく必要があります。
競売や自己破産に比べると任意売却のメリットは大きいですが、もちろんデメリットもあるため、しっかり理解しておきましょう。
・住宅ローンを滞納したことを周囲に知られにくい
・競売よりも相場に近い価格で売却できる可能性がある
・残ったローンを一括返済ではなく分割で払っていける
・諸費用を現金で用意しなくてもいい
・滞納の記録が信用情報機関に残るため今後の融資を受けにくくなる可能性がある
・競売よりも自分でやることが多く手間と時間がかかる
・債権者(金融機関)と連帯保証人の合意が必要
・指定の期間内に売却できなければ最終的に競売になる
任意売却ではなくても、資金繰りを軽くする方法は他にもあります。
例えば『ローンを借り換える』『返済期間を長くする』などの方法です。売却を急がなくてはならない任意売却の場合は、相場と比較すると8~9割の売却価格になってしまいます。
まだ余裕がある間にオーナーの権限で売却する方が確実に有利なので、返済が苦しくなってきたら、少しでも早く売却へ動き出すことをオススメします。
売却損は最長4年間の「譲渡損失の繰り越し控除」が受けられる
家を売却したときに損失が出ることを「譲渡損失」と呼びます。
譲渡損失が出ると、家を売却して手に入れたお金に対して、所得税や住民税がかかることはありません。また、売却した年のその他の所得と相殺して、所得税や住民税を減らすことができます。さらに、「譲渡損失の繰越控除」と呼ばれる特例によって、売却した年の所得よりも譲渡損失のほうが大きくて相殺し切れない場合は、翌年から最長3年間の所得まで繰り越して控除できることがあります。
売った年と合わせて最長4年間の所得税等や住民税がゼロになったり軽減されたりします。所得を少なくする控除なので、損失額そのままが減税になるわけではありませんが、確定申告の際は忘れずに手続きをしましょう。
※この特例には条件があり、譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える自宅を売る場合に限る。
住宅ローンが残っている家の買い替えは「売り先行」が安心
住宅を買い替える場合、「売却」と「購入」のタイミングが重要です。
住宅ローン返済中の買い替えには「売却先行」と「購入先行」の2通りの方法がありますが、売却を先行するべきか、購入を先行するべきかはオーナーのご事情や住宅ローンなどの資金計画によって違いがあるため注意が必要です。
どちらを選択される場合にも資金の手配や引渡しのタイミングなどのリスクを考慮した十分なプランニングが必要となります。安心して買い替えを進めるためにも、住宅の買い替え方法についての基礎知識を身に付けておくことをオススメします。
「買い先行」で資金が足りない場合は「つなぎ融資」があるが・・・
「つなぎ融資」とは、購入と売却のタイミングがずれてタイムラグが発生した場合に、その短い間だけお金を借りる融資制度です。
まず「つなぎ融資」を受けて新居を購入し、前の家が売れたらその売却金で「つなぎ融資」を一括返済します。住宅ローン返済中でもスムーズな買替が可能になり、仮住まいが要らず、引越しが1回で済みますが、以下のような点には注意が必要です。
・買い替えローンよりも金利が高いことが多い
・手数料や保証料などの諸費用が余分にかかる
・融資の期間はおおむね6か月~1年以内に限定
・期日までに売却できない場合には査定価格の80%程度で買取に
住宅ローン返済中に賃貸にはできない
住宅ローンが残った状態の家を賃貸にすることは基本的にできません。
金融機関によっては、転勤や介護により住み続けることが困難な場合に限り、賃貸を許可してくれる場合もありますが可能性は高くありません。住宅ローンはあくまで住宅のための融資であるため、住宅ローン返済中に金融機関の許可がないまま賃貸にした場合には、住宅ローンよりも金利が高い、投資物件用のローンに借り換えを要求され、月々の支払い額が大幅に上がります。
金融機関に無断で賃貸にした場合には、住宅ローンの規約違反になり一括返済を求められるので、住宅ローンで購入した家を賃貸にすることはできません。
ここまで「住宅ローンを返済中に家を売却する方法」について解説しました。
横浜をはじめ首都圏で住宅ローンを返済中の家を売却したい場合には、住宅ローンに詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
住宅ローンを返済中に家の売却でお悩みしたら、横浜の不動産売却専門企業 株式会社ジャンクションにご相談ください。
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不動産売却のプロとして「あたりまえの仕事」を心がけ、数多くオーナーのご期待にお答えしてきた私たちなら力になれるはずです。
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