サブリース契約中の投資用マンションを売却したいというご相談が増加しています。
サブリース契約のトラブルは『サブリース問題』と呼ばれる社会問題となっていますが、サブリース契約中であっても投資用マンションを売却したい理由の多くは、不動産投資のリスクを避けるためにサブリース契約を結んだが「そもそも利益がでない」「損をしている」というものです。
サブリース契約中の投資用マンションを売るときの注意点を解説します。
サブリース契約中の投資用マンションを売却する注意点
サブリース契約中の投資用マンションを売却するときには、いくつかの注意点があります。
大前提として、サブリース契約の有無に関係なく投資用マンションは投資家向けに売却することになります。
投資用マンションを売却する価格査定は、収益還元法によって年間賃料収入が○%あるか「利回り」計算で査定算出します。
例)(月額賃料◯万円×12ヶ月=年間賃料)÷利回り○%=売却価格
利回り設定は周辺エリア内で比較し、築年数が浅いほど低く(金額↑)、築年数が古いほど高く(金額↓)設定する。
投資家はより好利回りを求めて広いエリアで投資する投資用マンションを探すため、居住用の不動産に比べて競合する投資用マンションが多いことが注意点です。
サブリース契約中に売却する注意点
①サブリース契約中に売却すると投資用マンションは安くなる
サブリース契約中の投資用マンションはただ売れれば良いという訳ではありません。
賃貸中の投資用マンションは利回り計算から売却価格を設定することは前述しましたが、サブリース手数料が引かれているためサブリース契約中の投資用マンションは安くなるのが注意点です。
例えば、想定賃料で利回り5%として計算してみると
サブリース契約中(月額賃料7万円×12ヶ月=年間賃料84万円)÷利回り5%=1,680万円
サブリース契約無(月額賃料8万円×12ヶ月=年間賃料96万円)÷利回り5%=1,920万円
その差額240万円と大きな額となります。
サブリース契約中に投資用マンションを売却した結果、価格が大幅に下がった場合にはオーナーに想像を超えるマイナスが残ります。
サブリース契約中に売り出したものの、売却できず価格を大幅に下げて売り切ったが大損失だったということも起こるため注意しましょう。
②サブリース契約中の投資用マンションを投資家が嫌う理由
⒈サブリース契約の手数料が毎月かかる
サブリース契約中には、家賃の10〜20%程の金額をサブリース手数料としてサブリース会社へ毎月支払うため、投資家は収益を最大化することができません。サブリース契約はオーナーからサブリース会社が借り上げ(サブリース契約)て、サブリース会社が入居者へ転貸(普通賃貸借契約)している状態です。オーナーがサブリース会社と入居者との間で結ばれている賃貸借契約の内容や賃料を知らない、サブリース手数料をいくら払っているか分からないということも起こります。
⒉サブリース契約の内容や家賃保証の見直しがある
サブリースの契約書には数年ごとに家賃保証の見直しがあると明記されているのが一般的です。投資用マンションはサブリースの有無を問わず、年数が経って老朽化した投資用マンションとしての魅力は低下するため、賃料を下げなければ入居者が見つからない時期があることも十分に考えられます。周辺に新築の投資用マンションや嫌悪施設の建設で環境が変わり、賃貸需要の変化が生じる可能性もあるため、サブリース契約で数年ごとに家賃保証を見直す規定がされていることは問題ではありません。しかし、保証賃料が下がることが分かっていながら投資しようという投資家はいないため売却するのは難しいという注意点があるのです。また、オーナー(貸主)よりも権利が強いサブリース会社(借主)という関係性から、サブリース契約期間中であっても更新時期にかかわらずサブリース会社から「借地借家法第32条」の規定により保証賃料の減額や、サブリース契約の解除をされる可能性があることも注意点です。
⒊サブリース契約を引き継ぐ義務がある
サブリース契約中の投資用マンションを売却するときには、次のオーナーへサブリース契約を引き継ぐ必要があります。サブリース契約には「管理の手間を省ける」「家賃保証で空室リスクが減る」などのメリットがある一方で、「入居者情報の把握ができない」「賃料設定ができない」などの制限が注意点です。投資用マンションを売買する投資家にとって、サブリース契約中の投資用マンションはデメリットの方が大きいため嫌厭されます。物件の立地や築年数にメリットがあったとしてもサブリース契約中というだけで購入を見送る投資家の方が多いでしょう。
③サブリース契約中に投資用マンションを売却するリスク
サブリース契約中の投資用マンションは、サブリース契約を次のオーナーへ引き継ぐ必要があります。
サブリース契約中の投資用マンションの売却期間は長期化しやすくリスクも高くなることが注意点です。
サブリース契約中に売却するリスク
- 管理費・修繕積立金などランニングコストの増加
- リフォームなどの修繕にかかる臨時費用の発生
- 築年数の経過にともなう賃料の減額
- 市場動向の変化による価格の下落
特に新築や築浅の投資用マンションを売却したいオーナーの中には、売却価格が抵当権(ローン)を下回るオーバーローンの状態で、手持ち資金で補填できず「売れない」ということも起こるでしょう。ローンを支払っているオーナーが何らかの事情で支払いが難しくなった場合、金融機関が返済は困難だと判断すれば『任意売却』ひいては『競売』になり、オーナーはさらに大きなマイナスを負ってしまうリスクもあるため注意しましょう。
- 任意売却の価格(金融機関の同意) 相場の約80〜90%
- 競売の価格(入札) 相場の約60〜70%
サブリース契約を解除する注意点
サブリース契約中の投資用マンションを売却するときには、サブリースを解除することが大切です。
サブリース契約を解除するときの代表的な注意点を確認しておきましょう。
①サブリース契約の期間内解約
サブリース契約の内容は約款(契約書記載の細かい文字)によって違いがるため注意する必要があります。サブリース契約は数十年間の長期に渡って賃貸借期間が定められていますが、その賃貸借期間内のサブリース契約解除について記載されているのが『期間内解約』という項目です。
サブリース解除予告期間
サブリース契約を解除したい場合には「◯ヶ月前に解約を申し入れる」という文言です。
おおむね6ヶ月前をサブリース解除予告期間としているサブリース会社が多いです。サブリース契約の中には解除予告期間について記載がないものもありますが、その場合にはサブリース解除料(事項)を支払って解除します。
サブリース解除料
サブリース契約を解除したい場合には「◯ヶ月分の賃料相当額を支払う」という文言です。
おおむね6ヶ月分の賃料相当額をサブリース解除料としているサブリース会社が多いです。サブリース契約の中には、前述の解除予告期間前に解除を申し込めば解除料は不要になるものもあります。
サブリース契約を解除するときには、なるべく費用負担を減らすことができるように予告期間と解除料に注意しましょう。
②サブリース契約を解除してからの賃料収入と管理
サブリース契約はオーナー・サブリース会社・入居者の三者が関係していますが、サブリース契約解除するとオーナー・入居者だけの関係になるため、場合によっては賃料の入金や入退去などの管理をする必要があります。
サブリース契約中 :【オーナー】 → サブリース契約 ←【サブリース会社】→ 賃貸借契約 ←【入居者】
サブリース解除後 :【オーナー】 → 賃貸借契約 ←【入居者】
サブリース契約を解除すると「空室時の家賃保証」や「管理委託」がなくなるため、最悪の場合には入居者の退居や家賃の滞納などで賃料収入がなくなってしまう可能性があることが注意点です。サブリース契約を解除して投資用マンションを売却するときには、なるべく短期間で早く売り切ることを心がけましょう。
サブリース契約を解除するタイミングの注意点
サブリース解除後のリスクを抑えるためにもサブリース契約解除のタイミングに注意しましょう。
サブリース契約の解除は予告期間や解除料によって、解除するタイミングに違いがあります。
売却開始時
- 予告期間 有
- 解除料 有
サブリース解除の予告期間も解除料も定められているケースです。売却開始と同時にサブリース解除を申し込みましょう。
売却開始時
- 予告期間 有
- 解除料 無
サブリース解除の予告期間に申し出れば解除料が発生しないケースです。売却開始と同時にサブリース解除を申し込みましょう。
売却決定時
- 予告期間 無
- 解除料 有
サブリース解除の解除料が必ず発生するケースです。解除料はかかりますが、サブリース解除後のリスクを抑えるためにも売却が決定したらサブリース解除を申し込みましょう。
サブリース契約の内容によって解除のタイミングには違いがあります。解除料と解除後のリスクを抑えられるタイミングでサブリースを解除しましょう。また、サブリース会社が賃貸借契約(入居者との契約)の内容を開示しないというケースも多く、この場合にはサブリースを解除するタイミングに違いがあるため注意しましょう。サブリース契約内容がよく分からないという場合には、サブリース契約中の投資用マンションの売却に詳しい不動産会社への相談をオススメします。
サブリース契約をめぐるトラブルは、サブリース会社の重要事項の説明不足に起因するものと思われがちですが、売却を考えているオーナーからのご相談の多くは、収支(収入と支出のバランス)が合わないことのお悩みです。サブリースでマンションに投資されたオーナーのように、不動産投資をするからにはリターンを求めるのは当然です。裏を返すと、サブリース契約中の投資用マンションの売却では、サブリース契約を解除して投資家に売れる投資用マンションにすることが注意点になることも覚えておきましょう。
ここまで「サブリース契約中の投資用マンションを売却する注意点」について解説しました。
サブリース契約中の投資用マンションの売却でお困りでしたら、まずはサブリース契約に詳しい専門家へ相談しましょう。
サブリース契約中の投資用マンションの売却でお悩みでしたら、横浜の不動産売却専門企業 JUNXION Inc.にご相談ください。
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