離婚するときに、家や不動産など夫婦で協力して築き上げた財産を分ける財産分与
共有名義の家・不動産は、離婚するときの財産分与で揉めるポイントです。高額なお金の問題が発生する財産分与では、権利関係の整理や、評価額の算出といった確認しなければならないことが多く、そのため注意点があります。
離婚で財産分与する共有名義の家・不動産を売却する注意点を解説します。

離婚の財産分与で共有名義の家を売却する注意点

不動産の財産分与とは

財産分与とは、夫婦で購入した家・不動産、自動車、有価証券、預貯金などの“財産”を離婚するときに分けることです。
マンションや戸建などの不動産は、夫婦で共有持分をもつ共同名義であることが多く、財産分与する財産の中でも高額になるため、離婚するときに財産分与で揉めるケースは良くあるケースです。財産分与のために家を売却するときに、ペアローンなどの住宅ローンが残っているケースでは注意点も多くなります。
また、離婚にともない不動産を売却するか、どちらか一方が家を持ち続けるかによって、財産分与の方法に違いがあるため、まずは権利関係や住宅ローンが現在どのような状態なのか整理しておくのが大切です。

単独名義の財産は、特有財産であり、原則として財産分与の対象になりません。
ただし、名義が単独名義であっても、実質的に夫婦の婚姻生活中に協力して築かれた財産といえる場合(実質的共有財産)には、財産分与の対象となることがあります。

離婚で不動産を財産分与する5つの注意点

離婚で不動産を財産分与するときには、確認しておく5つの注意点があります。

①土地・建物の名義

土地や建物といった不動産の名義人は、法務局で『登記事項証明書』を取得すれば名義を確認できます。
登記事項証明書では、共有名義か調べられるほか、抵当権の設定内容についても記載があります。

②住宅ローンの契約内容

住宅ローンを利用している場合には、名義人、連帯保証人、残債など住宅ローンの契約内容を確認します。
住宅ローンの契約内容は『住宅ローン契約書類』を確認すれば分かります。書類がない場合には、ローン債務者や連帯保証人であれば、借入先の金融機関へ確認しておきましょう。

住宅ローンの名義

住宅ローンの契約内容(夫婦の関係)は次のようなケースが一般的です。

ケース①

夫 主債務者
妻 連帯保証人

ケース②

夫 主債務者
妻 負担なし※保証協会利用

ケース③

夫 連帯債務者
妻 連帯債務者

住宅ローンの残債

住宅ローンの残りの額、残額は「償還表」などで確認できます。
離婚で財産分与のために家を売却するためには、住宅ローンの残債が現在いくらあるのか正確に把握しておくことが大切です。

オーバーローン

ローン残債 > 売却価格

不動産を売却しても残債が残ってしまうオーバーローンの場合には、夫婦のどちらが家に住み続けてローンの支払を続ける方法が一般的です。
売却できる価格に対して残債がわずかに残る程度で、手持ちの資金からの補填で完済できる見込みであれば、売却する選択肢もあります。

売却しなくてはいけない状況の場合には「残ったローンの支払をどうするのか」事前に解決しておく注意点があります。残債が大きく完済が見込めない場合には、早めに金融機関へ相談しましょう。

アンダーローン

ローン残債 < 売却価格

不動産を売却すれば現金が手元に残るアンダーローンの場合には、不動産を売却して得た現金を夫婦で分割する方法が一番簡単です。
不動産を売却して、住宅ローンの残額や売買の手数料などの費用を差し引いた後に残る金額を2人で分割すれと良いでしょう。

売却しない場合には、離婚後のローン負担をどうするか、名義をどちらにするか、家が残らない配偶者は財産分与としていくら受け取るべきか、保証人の問題をどうするかなどの難しい問題が生じる注意点があります。

離婚の財産分与では住宅ローンがどのくらい残っているか(残債)によって、分け方に違いがあります。
不動産の売却価格よりもローンの残債が下回るのであれば、不動産を売却すると現金が手元に残ります。一方、不動産の売却価格よりも住宅ローンの残債が上回るような場合には、仮に不動産を売却したとしてもローンが残ることになり、離婚後もローンの支払を継続する、もしくは残債が売却できる金額まで支払いを続けてから売却せねばなりません。
契約内容にもよりますが、実際には不動産を売却する価格に対して足りない金額を手持ちの資金から補填し、住宅ローンを完済できる状態で売却します。

③財産分与に該当する期間

財産分与に該当する期間によって分けられる金額に違いがある場合にはトラブルが起こる注意点です。
財産分与の該当期間は、一般的に「結婚した日から別居した日まで」ですが、「結婚した日から離婚した日まで」とするケースもありるため夫婦で話し合い確認しておきましょう。

④不動産の価格

話し合いによる合意が優先される

不動産に限りませんが、財産分与の対象となる財産の価値は『当事者間の合意のある場合その「合意内容に従い評価する」ことで足りる』という考え方が大前提です。

不動産にはいくつかの評価額がある

合意がない場合には不動産の価値、評価額を決める必要があります。
不動産の評価額の算出方法についてはいくつか種類がありますが、算出方法によって評価額に違いがあるため、財産分与の金額が変わるという注意点があります。

財産分与するための不動産の評価額
  1. 固定資産評価額:時価の5~7割程度の価格。毎年お手元に送られてくる「固定資産税通知書」に記載されている不動産の評価額です。
  2. 路線価:時価の6~7割程度の価格。相続税を計算するための評価額で、インターネットで調べて算出できます。但し、路線価は土地についての価格なので、建物については固定資産評価額を併用することもあります。
  3. 時価:不動産を売却した場合に、いくらで売れるかという観点から決まる価格です。査定価格と実際に売却できる価格は違いがあるため、査定依頼する不動産会社へ「離婚の財産分与で家を売却する評価額の査定」としっかり伝える必要があります。

評価額の算出方法は、固定資産評価額・路線価・時価がありますが、不動産を売却する予定の有無や、不動産の評価額を「高く見積もりたいか、低く見積もりたいか」によって選択するのが大切です。

評価額を時価にする注意点

不動産の時価は、不動産会社の査定価格によって算出します。
離婚にあたって「不動産を売却する」場合、不動産会社から取得した査定価格(売却予定価格)を基準として評価額を決める、あるいは実際に売れた金額を分けることになるので、スムーズに財産分与することができます。
ただし、時価のように実際の売却を保証されない価格を評価額にすると、財産分与で損をする可能性がある注意点があります。根拠のない高額な査定価格を評価額にして家を財産分与した後に、相場の変動後に売却すると、評価額と売却価格に差があるためトラブルが起こる可能性が高くなります。離婚で財産分与のための査定に詳しい不動産会社へ査定を依頼するのがオススメです。

対して「不動産を売却しないで一方が居住を続ける」場合 、双方が不動産会社から査定を取得し、中間の価格で合意をすることもあります。話し合いがまとまらず合意が得られない時には、裁判所が両者の査定結果をふまえて価格を提案することもあります。
納得ができない場合には、「不動産鑑定」を利用することも考えられますが、不動産会社の査定に比べると高額な費用がかかるため居住用の家では不動産鑑定はあまり利用されません。第三者に賃貸していて賃料が発生する収益物件のように評価が複雑な投資用物件では不動産鑑定を利用することも多いようです。

⑤特有財産の有無と割合

特有財産とは、婚姻前からどちらか片方が有していた財産や、婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産のことです。
例えば、住宅ローンの支払いを独身時代の貯金で払った分や、親に払ってもらった頭金の分は、すべての額とは限りませんが、支払った方の特有財産となります。
特有財産は夫婦の共同財産ではないので、財産分与の対象となりませんが、そもそも特有財産といえるのか、特有財産はいくらとするのかなどで揉めるケースが多い注意点です。特有財産の考え方や金額の決め方に明確な決まりはなく、話し合いがまとまらない場合の判断はケースバイケースとなるため、トラブルが起こる前に弁護士へ相談するのがオススメです。

不動産は売却して財産分与する

財産分与は総資産の折半が基本

財産分与の割合は、基本的に折半ですが実際にはさまざまなケースがあります。
離婚の財産分与は原則的に総資産の折半ですが、最終的にお互いの事情や譲歩による合意で決まります。「離婚できるなら自分が3割、相手が7割でもいい」「不動産とその他の財産で分けると正確には4割:6割だが不動産がもらえるなら少なくてもいい」など、お互いが合意できるのであれば折半でなくても法的に問題ありません。
また、不動産の財産分与に所有権の割合は関与しない注意点があります。共有名義ではない不動産も離婚するときには基本的に折半で財産分与することになります。

不動産の財産分与は売却がオススメ

家や土地など不動産の財産分与は、離婚するときに売却して現金を分けてから、お互いにすっきりと新生活を始めるのがオススメです。
売却するときに住宅ローンが残っている場合には、売却額でローンを完済し、特有財産があればその金額を除き、残金を財産分与します。もし、売却額よりもローン残高の方が多い場合、不足分を貯金などで補填して売却・分与した方が後々トラブルが起こるリスクを回避する意味でも正しい選択です。

問題になるのは、売却額と貯金を足してもローンが完済できない場合です。この場合、夫婦のいずれかが所有して住宅ローンを支払い続けるか、金融機関に任意売却の相談をすることになります。

任意売却とは

任意売却とは、住宅ローンの債権者と金融機関が話し合い、住宅ローンを残したまま抵当権を解除してもらうことです。売却は通常の不動産取引として扱われるので、裁判所が取り仕切る競売と比べると高い価格で売れる可能性があります。
住宅ローンが返済できなくなると、ローンを貸している金融機関は担保としている不動産を競売で売却します。ただ、競売は手間や時間がかかるうえ、市場価格よりかなり安く売却されるため、金融機関もできれば避けたいと考えます。離婚によって住宅ローンを完済できない場合、支払いができない場合などの理由で、不動産を売却できない場合には金融機関に任意売却の相談をしてみましょう。

離婚の財産分与後に住み続ける注意点

住宅ローンが完済できない場合の他にも、親の離婚と転校が重なると子どもの精神的負荷が大きくなるため今の家に住み続けたいといった理由で、家を売却せずに夫婦のいずれかが住み続ける場合には注意点があります。

妻が家に住み続けるケース

よくあるのが『夫名義の家に妻や子が住み続ける』というケースです。
この場合、住宅ローンが完済しているなら、妻に名義変更しておくことで後々のトラブルを防ぎ、安心して住み続けることができます。

不動産の名義人かつ住宅ローンの債務者である夫が家から出ていき、妻が家に住み続けるというケースでは、難しい問題があります。妻が子どもの親権者になる場合には、養育費をもらう代わりに、夫が住宅ローンを支払い続けるという方法が考えられます。しかし、夫にとってはもう住んでいない家であることから、ローンの支払を継続してくれる保障はありません。夫がローンの支払を滞納すれば、妻は立ち退きを迫られる可能性があるため、非常に不安定な立場になってしまうのです。

住宅ローンは夫が返済する約束をしていても、病気やリストラなどで払えなくなったり、返済を放棄する可能性もあります。このとき、妻が連帯保証人になっていたら、妻が残りの住宅ローンを払わなければなりません。場合によっては競売になる可能性もあるでしょう。
万が一、夫が住宅ローンを支払わなくなった場合に備える必要があります。また、住宅ローン債務者と居住者が異なる状態となるので、金融機関から一括返済などを求められることもあるため、事前に金融機関と協議しておく必要もあります。

このケースでトラブルやリスクを避けるためには、妻に一定の収入があれば妻名義で住宅ローンを借りたうえで、妻に名義変更の登記をしておきましょう。もしくは、夫と賃貸借契約を結び、妻が残りのローンを家賃として払う方法もあります。覚書や合意書でローンを完済したときに名義を夫から妻へ変更する約束(※停止条件付き)しておくと良いでしょう。

  • 妻が住宅ローンを支払う
    住宅ローンの債務者を変更して妻が債務者となる場合、債務者の変更については妻が安定的な職業に就いており、それなりの経済力がなければ難しいのが実情です。債務者を夫にしたまま、事実上は妻が支払っていくという方法は、後々トラブルが起こるリスクがあるため注意しましょう。
  • 不動産の名義変更
    妻が離婚で不動産を取得する場合、名義をそのままにしておくと夫の財産として扱われてしまう事態が生じかねません。しかし、住宅ローンを完済するまでは、銀行側が名義変更を了承してくれないでしょう。そのため、離婚の際に「住宅ローンが完済した後は妻に名義変更する」など、名義変更について明確に合意しておく必要があります。ただ、登記請求権の時効の問題もありますので、きちんと専門家に相談したほうがよいでしょう。
  • 売却益も財産分与の対象財産
    不動産の売却価格がローン残債より大きく、不動産がプラスの財産となっている場合には、そのプラス部分については財産分与の対象であるため、不動産を妻が取得するなら妻から夫への財産分与が必要になります。

夫が家に住み続けるケース

住宅ローンの債務者である夫が家に住み続けるケースでは、不動産が夫名義であれば、そのまま住み続けて住宅ローンの支払いをしていくのが良いでしょう。

ただし、妻もローンの負担をしていた場合(連帯保証や連帯債務)、夫婦間で「夫が支払う」と合意をしても、金融機関に対する責任を免れることはできないという注意点があります。妻が債務を免れるためには金融機関と別途交渉して、妻が連帯保証人などから外れることを了承してもらう必要があります。了承が得られるかは金融機関次第であり、基本的には難しいものです。仮に保証人を外れるとなれば、新たな保証人を要求されたり、保証協会の利用を求められたり、まとまったお金の入金を求められることが多いでしょう。

不動産の価格がローン残額より大きく、不動産がプラスの財産となっている場合には、そのプラス部分について財産分与の対象となります。そのため、離婚の際に原則そのプラス部分の半分の金額を相手に対して支払う必要があります。また、片方の特有財産をもって住宅ローンの一部を支払っているのであれば、財産分与の金額が大きく増える場合があるため注意しましょう。

財産分与で取得した不動産の税金

離婚の財産分与に贈与税はかからない

通常、誰かから不動産や現金などの財産をもらったときには贈与税がかかります。しかし、離婚時に分けられた財産については、貰ったものではなく、夫婦の共有財産を分け合ったものと考えられるため、基本的に贈与税は発生しません。また、不動産を贈与する場合、貰った方は不動産取得税を払いますが、離婚時の財産分与で分けられた場合には不動産取得税はかかりません。
ただし、不動産に名義変更を登記するときに「登録免許税」がかかること、所有者には毎年「固定資産税」がかかることは覚えておきましょう。

不自然な財産分与は課税されることも

離婚するとき財産分与の金額に上限はないので、仮に高額な財産をもらったとしても、基本的に贈与税はかかりません。
しかし、さまざまな事情を考慮しても明らかに多すぎる金額だと判断された場合、贈与税がかかることがあります。過大な財産分与があったとき、税務署は贈与税や相続税を免れるために離婚したのではないかと調査をします。調査の結果、過大な場合は過大部分に、税金逃れの場合は離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかる可能性がありますので慎重に財産分与はおこないましょう。

譲渡所得税がかかるケースも

不動産や株式など価値が増減する資産を売却したときには、取得価額より売却時点の時価の方が高いと、その差額に譲渡所得税がかかるという注意点があります。譲渡所得税の計算は、譲渡費用や建物の償却などの複雑な計算が必要になるため、税理士などの専門家へ相談するのがオススメです。

離婚の財産分与は専門家へ

財産の中でも高額になる家や土地などの不動産は、あいまいな形で持ち続けると後々に金銭トラブルが発生する可能性があります。
離婚するときに売却して財産分与しておくだけで無用なトラブルは避けられます。ただ、夫婦間で財産分与の話し合いを進めても、お互いが納得いくかたち合意するのは難しいものです。財産分与で損をして後悔しないためにも、離婚について弁護士や税理士に、不動産については離婚案件に強い不動産会社へ相談しながら進めることをオススメします。


ここまで「離婚で不動産を財産分与|共有名義の家を売る注意点」について解説しました。
離婚の財産分与で不動産を売却するためには、さまざまな専門知識が必要です。離婚で財産分与のために不動産の売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社への依頼をオススメします。
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