空き家活用は売却・賃貸?
親から相続した実家や、転居によって使わなくなった住宅など、「空き家をどうすればいいのかわからない」と悩んでいる方は少なくありません。
空き家は、売却する、賃貸する、リフォームして活用する、解体して土地を活用するなど、さまざまな選択肢があります。
ただし、すべての空き家が賃貸やリフォームに向いているわけではありません。
立地、建物の状態、リフォーム費用、賃貸需要、将来の維持管理などを考慮して判断する必要があります。
この記事では、空き家の主な活用方法から、売却と賃貸の違い、メリット・デメリット、判断するポイント、売却までの流れまで、不動産売却の専門家の視点からわかりやすく解説します。
「空き家を持ち続けるべきか、貸すべきか、売るべきか」で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

空き家の活用方法は大きく5つ
空き家を所有している場合、主な選択肢は次の5つです。
- 売却する
- 賃貸する
- リフォーム・リノベーションして活用する
- 事業用・店舗などに用途変更する
- 建物を解体して土地を活用・売却する
国土交通省も、空き家について「売却」「賃貸」「用途変更」「除却」など、物件の状態や地域の状況に応じた対応を案内しています。
重要なのは、「空き家だから賃貸にする」「古いから売る」と単純に決めないことです。
立地や建物の状態によって、最適な方法は変わります。
空き家を売却するメリット
空き家を売却する最大のメリットは、所有することで発生する管理や維持の負担をなくせることです。
空き家を所有していると、固定資産税などの負担だけでなく、建物の管理、草木の手入れ、雨漏りや設備故障への対応などが必要になります。
また、空き家は放置期間が長くなるほど老朽化や損傷が進み、売買や賃貸が難しくなる可能性があります。
国土交通省も、空き家になった場合は早めに「活かす」または「しまう」といった対応を検討することを勧めています。
売却には次のようなメリットがあります
- 空き家の管理負担をなくせる
- 固定資産税などの所有コストを削減できる
- 売却代金をまとまった資金として受け取れる
- 相続した空き家を現金化できる
- 遠方にある空き家を手放せる
- 将来的な修繕リスクを減らせる
特に、遠方に住んでいて空き家の管理ができない方や、今後も利用する予定がない方は、売却との相性が良いでしょう。
空き家を売却するデメリット
一方で、空き家を売却すると、その不動産を将来的に利用することはできなくなります。
また、物件によってはそのままでは買い手が見つかりにくく、売却まで時間がかかる場合があります。
築年数が古い、建物の傷みが大きい、再建築が難しい、立地が悪いなどの事情がある場合は、一般的な中古住宅として売るのではなく、古家付き土地、土地、リフォーム素材など、別の売り方を検討する必要があります。
そのため、売却を検討する場合は、最初から「この方法で売る」と決めるのではなく、複数の売却方法を比較することが重要です。
空き家を賃貸するメリット
空き家をすぐに売却せず、賃貸住宅として活用する方法もあります。
賃貸の最大のメリットは、所有権を残したまま家賃収入を得られる可能性があることです。
将来的に自分や家族が住む可能性がある場合にも、売却せずに保有する選択肢として検討できます。
国土交通省も、空き家を貸す方法として、住宅セーフティネット制度、非営利法人への賃貸、サブリース事業者への賃貸などを紹介しています。
賃貸には次のようなメリットがあります
- 家賃収入が期待できる
- 不動産を手放さずに済む
- 将来自分や家族が利用できる
- 建物を有効活用できる
- 資産として保有し続けられる
ただし、「家賃が入る=利益が出る」とは限りません。
空き家を賃貸するデメリット
空き家を賃貸する場合、入居者を募集する前に修繕やリフォームが必要になるケースがあります。
さらに、賃貸後も設備の故障、退去時の修繕、入居者募集、家賃滞納への対応などが発生します。
そのため、家賃収入だけを見るのではなく、次の費用を考える必要があります。
- リフォーム・修繕費
- ハウスクリーニング費用
- 仲介手数料
- 管理費
- 固定資産税
- 火災保険などの保険料
- 設備の交換費用
- 空室期間中の維持費
特に注意したいのが、空室リスクです。
周辺に賃貸需要がなければ、入居者が決まらず、リフォーム費用をかけても期待した収益を得られない可能性があります。
空き家は「売却」と「賃貸」どっちがいい?
空き家の売却と賃貸のどちらが良いかは、物件によって異なります。
判断するときは、次の5つのポイントを確認しましょう。
1.立地
駅から近い、周辺に商業施設や学校がある、賃貸需要が高い地域などであれば、賃貸として活用できる可能性があります。
一方、人口減少地域や賃貸需要の少ない地域では、賃貸経営より売却のほうが合理的な場合があります。
2.建物の状態
築年数が古く、雨漏りやシロアリ、設備不良などがある場合、賃貸にするために多額の修繕費が必要になることがあります。
リフォーム費用をかけても家賃を十分に設定できなければ、投資回収が難しくなります。
3.リフォーム費用
「せっかくの空き家だからリフォームして貸したい」と考える方もいますが、先に費用を確認する必要があります。
例えば300万円のリフォームをして、家賃7万円で貸した場合、単純計算でもリフォーム費用だけで約43か月分の家賃に相当します。
実際には、固定資産税、管理費、空室期間、設備交換などもあるため、家賃収入から実際に残る金額で判断することが重要です。
4.将来その家を使う予定があるか
将来的に自分や子どもが住む予定がある場合は、すぐに売却せず賃貸として保有する方法も考えられます。
反対に、今後誰も住む予定がなく、長期的に所有する理由もないのであれば、売却によって資産を整理する方法が向いている可能性があります。
5.管理できるか
空き家を遠方から所有している場合、管理そのものが大きな負担になることがあります。
定期的な換気、清掃、草刈り、設備確認などが必要になるため、「賃貸にすれば管理しなくてよい」とは限りません。
空き家を活用するなら「売却・賃貸・その他」を比較する
空き家の活用方法は、売却と賃貸だけではありません。
例えば、以下の方法もあります。
空き家をリフォームして賃貸する
建物に十分な価値があり、周辺に賃貸需要がある場合は、リフォームによって賃貸物件として再生する方法があります。
ただし、リフォーム費用と家賃収入のバランスを確認することが大切です。
空き家を店舗や事務所として活用する
住宅としての需要が低くても、立地によっては店舗、事務所、サロンなどの用途で利用できる可能性があります。
ただし、用途変更や改修、法令上の確認が必要になるケースがあるため、専門家に相談しながら進めることが重要です。
空き家バンクを利用する
自治体などが運営する「空き家バンク」に登録する方法もあります。
国土交通省によると、空き家バンクでは「売りたい・貸したい」所有者と、「買いたい・借りたい」人とのマッチングにつなげることができます。
地域によっては、空き家の改修や活用について補助制度が用意されている場合もあります。
空き家を売却する前に確認したいこと
空き家の売却を決めた場合でも、いきなり不動産会社に「売ってください」と依頼するだけでは十分ではありません。
まず、以下を確認しましょう。
名義を確認する
相続した空き家の場合、登記上の所有者が誰になっているのかを確認します。
相続登記が済んでいない場合などは、売却手続きに進む前に整理が必要になることがあります。
建物の状態を確認する
雨漏り、シロアリ、傾き、設備の故障などがないか確認しましょう。
国土交通省は、売却前にインスペクションを行うことで、建物の状態を把握し、売却後のトラブル回避や修繕・リフォームの検討に役立つと案内しています。
解体するかどうかを慎重に判断する
古い空き家の場合、「建物を壊して土地だけで売ればいい」と考えてしまう方もいます。
しかし、解体費用が発生するだけでなく、建物を解体した場合の税負担や土地の売りやすさなども含めて判断する必要があります。
解体前に「古家付きで売る」「建物を活用する」「解体して土地として売る」の3つを比較することが重要です。
相続した空き家なら税金も確認する
相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」を利用できる場合があります。
国土交通省によると、一定の条件のもと、相続等で取得した空き家やその敷地を早期に売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度があります。
現行の案内では、2027年12月31日までの売却が対象期間とされています。
ただし、すべての空き家が対象になるわけではありません。
相続時期、建築時期、売却方法、建物の取り扱いなど、複数の要件を満たす必要があるため、売却前に税理士や不動産会社などの専門家へ確認することをおすすめします。
「空き家を売るか貸すか」迷ったら査定を受ける
空き家を活用するか売却するかで迷ったときに、最初からどちらか一方に決める必要はありません。
おすすめなのは、まず不動産会社に相談して、「売った場合はいくらになるのか」「貸した場合はいくらくらいの家賃が見込めるのか」「リフォームするといくらかかるのか」を比較することです。
売却価格だけでなく、賃貸需要や想定家賃、必要な修繕費などを確認することで、より具体的に判断できます。
例えば、「売却価格1,500万円」「想定家賃8万円」「リフォーム費用300万円」など、具体的な数字が分かれば、売却と賃貸のどちらが自分に合っているか判断しやすくなります。
空き家を売却する流れ
空き家の売却は、一般的に次のような流れで進みます。
STEP1:空き家の状況を確認する
まず、所在地、土地・建物の面積、築年数、所有者、住宅ローンの有無などを確認します。
STEP2:不動産会社に査定を依頼する
不動産会社に査定を依頼し、現在どの程度の価格で売却できる可能性があるのか確認します。
このとき、1社だけではなく、空き家の売却実績がある会社にも相談すると比較しやすくなります。
STEP3:売却方法を決める
「仲介で売る」「不動産会社に買い取ってもらう」「古家付き土地として売る」など、物件に合った売却方法を検討します。
STEP4:売却活動を開始する
仲介の場合は広告や不動産情報サイトなどを利用して買主を探します。
一方、不動産買取の場合は、不動産会社が直接購入するため、仲介とは売却までの流れや期間が異なります。
STEP5:売買契約・決済
買主が決まったら売買契約を締結し、必要な手続きを経て決済・引渡しを行います。
空き家は「高く売れるか」だけで判断しない
空き家の売却では、査定価格が高い会社を選びたくなるかもしれません。
しかし、査定価格は「必ずその価格で売れる金額」ではありません。
重要なのは、いくらで売れそうかだけでなく、どのように売るのか、どれくらいの期間がかかりそうか、修繕や解体は必要なのか、売却後にどのような費用が発生するのかまで確認することです。
特に空き家の場合は、一般的な中古住宅とは異なる売却戦略が必要になるケースがあります。
空き家を売却するなら「売却以外の選択肢」も含めて相談する
空き家の相談では、「売却したい」と伝えたら、すぐに売却を勧められるのではないかと心配する方もいるでしょう。
しかし、本当に重要なのは、売却ありきで判断しないことです。
空き家の立地や建物の状態によっては、複数の選択肢を比較できます。
- 賃貸
- リフォーム
- 空き家バンク
- 店舗・事業用として活用
- 建物を解体して土地を売却
- 不動産会社による買取
実際に自治体の空き家相談でも、売却・賃貸のどちらにするか、空き家の状態や課題を確認した上でアドバイスする取り組みがあります。
空き家の活用・売却・賃貸で迷ったら、まず専門家に相談しましょう
空き家は、放置しているだけでは資産価値を十分に活かせない可能性があります。
一方で、必要以上にリフォーム費用をかけて賃貸にしたり、十分な検討をせずに安く売却したりするのもおすすめできません。
大切なのは、「売る」「貸す」「活用する」のそれぞれについて、費用と収益、将来の負担を比較して決めることです。
「この空き家は売ったほうがいい?」
「賃貸にしたらいくらくらいの家賃になる?」
「古い家でも売却できる?」
「リフォームしてから売ったほうが高く売れる?」
このような疑問がある場合は、まず不動産会社に物件を見てもらい、売却と賃貸の両面から査定・提案を受けることをおすすめします。
空き家の価値は、建物の築年数だけでは決まりません。
立地、土地の価値、建物の状態、周辺の需要などを総合的に判断することで、思ってもいなかった活用方法や売却方法が見つかることがあります。
空き家を「売るか・貸すか」で迷っているなら、まずは現在の不動産価値を確認してみましょう。
空き家の状態によって活用方法は異なります。
空き家を賃貸活用してもメリットがない場合は、売却することで空き家トラブルの対策になるためオススメです。
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