競売の流れ|競売を回避して不動産を任意売却する方法
不動産が競売になるのは滞納したローンを返済する目処がたたない場合です。
銀行から求められる一括返済も、ローンの支払いが難しい状況では競売になる可能性が高いでしょう。しかし、不動産が競売されるのを回避する方法として任意売却があります。ローンを滞納して競売になる不動産を任意売却するためには時間の猶予はありません。
競売の流れの中で、競売を回避して任意売却する方法を解説します。
競売とは
競売とは、ローンを回収するために不動産を強制的に売却することです。
不動産を買うときに銀行などの金融機関でローンを組んだ場合、金融機関は抵当権を設定します。ローンが返済できなくなった場合、金融機関は抵当権を実行し裁判所に競売を申し立てることができます。
競売は、裁判所が競り売り(オークション)の方式で購入者を決めるため、最も高値で入札した人に購入する権利が与えられます。
競売の流れ
不動産を競売で売却して債権を回収する方法は、民事執行法の規定に基づき不動産競売の手続きに則っておこなわれます。
裁判所は、債権者の申し立てにより、不動産を競争入札により売却し、債権者に配当(返済)します。
ローンを滞納してから裁判所の手続きを経て、競売されるまでの流れを確認しましょう。
ローンの返済が遅れている状態です。
分割返済の権利がなくなります。
保証会社がオーナーに代わり代位弁済します。
オーナーへ一括返済が要求されます。
裁判所へ債権者(保証会社等)が競売を申し立てます。
競売開始が決定し不動産は差し押さえられ、差押が登記されます。
裁判所の執行官が競売物件の現地調査をおこないます。
競売物件の資料(物件明細書、現況調査報告書、評価書)が作成されます。
競売が告知されます。
決められた入札期間を経て開札されます。
最高金額で入札した者を買い受け人として決定します。
債権者に返済されます。
競売になるローン滞納の目安
債権者は滞納の発生から時間経過にそって事務的に処理を進めます。
ローンの滞納期間が長くなれば差押、競売へと自動的に進んでしまうため注意が必要です。
滞納期間 | 事務処理 |
---|---|
1ヶ月〜5ヶ月 | 「督促状・催告状」が届きます。 延滞している返済費用の支払いを求める通知です。 |
6ヶ月 | 「期限の利益喪失通知」が届きます 分割での返済には応じられません。という債権者からの通知です。 |
7ヶ月〜 | 「代位弁済通知」 銀行に債務を代位弁済した保証会社からの通知です。保証会社は一括返済を求めてきます。 「差し押さえ通知」 債権者による競売の申し立てが行われ、不動産が差し押さえられた旨の通知です。 「競売開始決定通知」 競売手続きが始まった通知です。この後4ヶ月~6ヶ月ほどで、強制的に売却されます。 |
競売のメリット
- 競売にメリットはありません。
不動産を差し押さえられて競売になる原因はローンの滞納、つまりお金のことです。競売は不動産を売却するうえで、最も価格が安くなる可能性があるため、競売にはデメリットしかありません。
競売のデメリット
- 競売は市場価格より低い価格で落札される
競売物件は現況のままで売却されます。入札参加者は、裁判所から開示される資料(物件明細書、現況調査報告書、評価書)をもとに入札をおこないます。通常の売買のように、内覧などで現地を確認することはできず、現況のままの売却となるため、買い受ける側にリスクがあるため落札される金額は市場価格と比べて低くなってしまうのです。
一般的には、競売の落札価格は市場価格の6〜7割程度で、残債務も大きくなり債務者にとってもデメリットしかないのが競売です。 - 競売物件は告知によって知られる
競売はオークションです。入札参加者を広く求めるため、競売物件の情報は新聞やインターネットで広く告知されるため、ご近所や知り合いなどに知られるリスクが高くなります。 - 引越し時期や費用の問題
落札された価格の中から売却にかかる費用は控除されますが、引越し費用はされません。
落札者によっては、早急な明け渡しを求められる場合もあります。任意売却では、売却代金から引越し費用を控除できる場合もあり、明け渡しも買い受け人との話し合いで決まります。
競売にかかる費用
- 送達や公告に関する費用
- 現況調査手数料
- 不動産(競売物件)の評価鑑定料
- 売却手数料
競売にかかる費用は債権者が予納金として納めますが、競売で不動産が売却された金額から債権者へ返金するため、競売の手続きにかかる費用はオーナー(債務者)の負担になります。
競売を回避する方法
競売になってしまう原因はローンの滞納ですが、ローンを滞納してしまったからといって競売になると諦める必要はありません。
競売を回避する方法に任意売却という方法があります。任意売却は一括返済ができないオーナーにとって、できるだけ債務を減らすことができる最後の選択肢です。
競売を止めて任意売却するためには、開札の2日前までに、債権者から競売取り下げの申し立てをおこなう必要があります。競売になる流れの中で任意売却するためにはタイムリミットがあることに注意しましょう。
任意売却による債務処理には時間的な制約があります。競売を回避するために任意売却を決めたら、金融機関からの督促状が届いた時点ですぐに専門家に相談することが重要です。そのまま放置すれば「代位弁済」が行われ、競売手続きへと進みます。
任意売却は、債権者の同意が得られれば、通常の不動産売却と同じ流れで売却して債務問題を解決することができるため、なるべく早く債権者との交渉のテーブルに着くことが大切です。
競売と任意売却の違い
任意売却
任意売却は、銀行などの債権者の同意を得て通常の売却と同じ売買市場で不動産を売る方法です。
売却金額はオーナー側で決められる(金融機関の同意が必要)ため、市場価格で売却できる可能性があります。
任意売却では債権者との話し合いを通じて、残債に関する返済計画など、債務問題を考慮し解決策についても考えます。
裁判所の権限で強制的に売却する競売と比べて、債務者の希望や生活設計を反映できる余地も多く、ローンを既に滞納している債務者にとって任意売却はメリットが大きいといえるでしょう。
競売
競売は債務の法的処理の一つで、債権者が抵当権の付された不動産の売却を裁判所へ申し立て、それが認められた場合、裁判所の権限で強制的に売却する制度が競売です。
購入者の決定は、公開入札方式(オークション方式)でおこなわれ、最も高額な参加者に購入権限が与えられます。
入札は誰でも参加できますが、契約不適合責任が免責されるなど購入者にとってデメリットが多いため一般市場価格に比べて低価格で落札されるの特徴があります。
売却価格が安くなる競売はオーナーにとってもデメリットしかありません。
競売を取り下げる方法
競売を取り下げるためには差し押さえを解除する必要があります。
競売になる方の多くが、ローンだけではなく固定資産税なども滞納し、役所から不動産の差し押さえられています。差し押さえされたままでは競売を取り下げることはできないため、任意売却するためにはまず差し押さえを解除する必要があるのです。
任意売却をする場合、債権者(借入先の金融機関や保証会社)は、役所からの差し押さえを解除するための費用を一定額、売却金額の中から支払うことを認めているため、役所と債権者の両者の折り合いがつくように金額を話し合い調整します。
競売を取り下げて任意売却へ回避する方法として、一時的に差し押さえを解除してもらうため、無事に不動産を任意売却が完了したとしても、税金の滞納額すべてを清算できるとは限りません。支払い切れなかった残額については、役所と相談のうえ、分納を認めてもらい、支払う必要があります。
税金は自己破産をしても債権が残ります。滞納した税金は支払い切れるよう分納計画を立てましょう。
ローンを滞納したら競売・任意売却に詳しい不動産会社へ相談
競売になるまでローンを滞納したら、任意売却で債務整理をおこなえる期間は限られています。
任意売却を成功させるためには、通常の不動産の知識に加えて、民法や民事執行法、税法など、さまざまな知識や、債権者との交渉スキルが必要になるため、競売・任意売却に詳しいことに加え弁護士や税理士などのネットワークが整っている売却に強い不動産会社へ依頼することが大切です。
競売を回避するためにも任意売却の相談は、ローンを滞納してからではなく、滞納しそうになったら早めに専門家へ相談することをオススメします。
ここまで「競売の流れ|競売を回避して不動産を任意売却する方法」について解説しました。
競売を回避する任意売却は、ローンを滞納した不動産を売却して債務を減らすことができる最後のチャンスです。競売になる不動産を任意売却するなら、競売・任意売却に詳しい不動産売却に強い不動産会社への相談がオススメです。
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