不動産売却の注意点と対策
不動産売却では、「思ったより高く売れなかった」「売却までに時間がかかった」「契約後に費用が発生して手取りが少なくなった」など、事前に知っておきたい注意点が数多くあります。
特に、不動産は売却価格が大きいため、ちょっとした判断の違いが数十万円、場合によっては数百万円以上の差につながることもあります。
そこでこの記事では、不動産売却の専門家が、売却前に確認しておきたい注意点から、査定、不動産会社選び、契約、税金、売却後まで、失敗を防ぐためのポイントを分かりやすく解説します。
「できるだけ高く売りたい」「早く売却したい」「売却で失敗したくない」という方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売却で特に注意したい5つのポイント
まず、不動産を売却するときに特に重要な注意点を5つ紹介します。
- 査定額だけで不動産会社を決めない
- 相場を知らずに売却価格を決めない
- 売却にかかる費用や税金を事前に確認する
- 契約内容を十分に確認してから売買契約を締結する
- 「高く売る」と「早く売る」のどちらを優先するか決めておく
この5つを押さえるだけでも、不動産売却で起こりやすい失敗を大きく減らせます。
1.査定額だけで不動産会社を決めない
不動産売却では、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。
ただし、最も高い査定額を提示した会社を選べばよいとは限りません。
査定額はあくまで「このくらいで売れる可能性がある」という価格です。
実際の売却価格は、物件の特徴と依頼する不動産会社によって変わります。
- 周辺の成約相場
- 物件の状態
- 立地
- 土地の形状
- 築年数
- 市場の需要
- 販売方法
極端に高い査定額を提示して媒介契約を獲得し、その後に価格を下げるよう提案するケースも考えられます。
そのため、査定額だけではなく、査定価格の根拠や販売戦略、担当者の説明力まで比較することが大切です。
2.不動産の相場を確認してから売却価格を決める
売主が希望する価格と、実際に売れる価格には差がある場合があります。
「購入したときに高かったから」「住宅ローンがまだ残っているから」といった理由だけで売却価格を決めるのは注意が必要です。
不動産の価格は、現在の市場環境や周辺の取引状況によって決まります。
売却前には、
- 周辺の売出価格
- 周辺の成約価格
- 土地・建物の相場
- 類似物件の販売状況
などを確認しましょう。
相場から大きく外れた価格設定は、売却期間が長期化する原因になります。
3.売却にかかる費用を確認する
不動産売却では、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。
代表的な費用を下記にまとめました。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登記関連費用
- 住宅ローンの繰上返済費用
- 測量費用
- 解体費用
- ハウスクリーニング費用
- 引っ越し費用
また、売却によって利益が出た場合には、譲渡所得税などの税金が発生する可能性があります。
そのため、売却前に「いくらで売れるか」だけでなく「最終的にいくら手元に残るか」を確認しておくことが重要です。
4.税金について事前に確認する
不動産売却では、売却益が発生すると譲渡所得に対して所得税・住民税などが課税される場合があります。
一方で、マイホームの売却などでは、一定の要件を満たすことで税負担を軽減できる特例があります。
代表的なものとして、マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除などがあります。
ただし、適用には条件があり、売却した不動産の種類や所有期間などによって税額が変わります。
「税金がかかるとは知らなかった」という事態を防ぐためにも、売却前に税金について確認しておきましょう。
5.売却する不動産の状態を正確に把握する
売却する不動産に問題がある場合は、事前に不動産会社へ伝えることが重要です。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 建物の傾き
- 給排水管の不具合
- 境界問題
- 越境
- 土地の利用制限
不具合や不具合の可能性を把握していながら告知しないと、売却後に買主とのトラブルにつながる可能性があります。
特に古い戸建てや長期間空き家になっている不動産は、建物の状態をしっかり確認しましょう。
不動産売却で失敗しないための10の注意点
ここからは、さらに具体的な注意点を紹介します。
6.一社だけに査定を依頼しない
一社だけの査定では、その会社の査定価格が適正なのか判断しにくくなります。
可能であれば複数の不動産会社に査定を依頼し「査定価格」「査定根拠」「販売方法」「担当者の対応」を比較しましょう。
ただし、査定会社の数を増やしすぎると、連絡対応だけで時間がかかります。
重要なのは、単純に数を増やすことではなく、自分の不動産に合った会社を比較することです。
7.「査定価格」と「売却価格」は違うことを理解する
査定価格は、不動産会社が市場動向や物件条件などをもとに算出した価格です。
一方、実際の売却価格は、買主との交渉などを経て決まります。
したがって、査定価格=必ずその価格で売れる金額ではありません。
査定を受けたら、「なぜこの金額なのか」「実際にはどのくらいの価格で成約する可能性があるのか」を担当者に確認しましょう。
8.不動産会社の得意分野を確認する
不動産会社には、それぞれ得意分野があります。
- 戸建て売却
- マンション売却
- 土地売却
- 収益物件
- 相続不動産
- 空き家
- 古家付き土地
- 不動産買取
自分の不動産の売却実績が豊富な会社を選ぶことで、適切な販売戦略を提案してもらえる可能性が高くなります。
9.売却方法を慎重に選ぶ
不動産売却には、大きく分けて「仲介」と「買取」という方法があります。
仲介
不動産会社が買主を探して売却する方法です。
一般的には、買主を探すための販売活動を行うため、売却まで時間がかかる場合があります。
一方で、買主との条件が合えば、買取より高い価格で売却できる可能性があります。
買取
不動産会社が直接不動産を買い取る方法です。
買主を探す必要がないため、仲介と比較して短期間で売却しやすいことが特徴です。
「できるだけ高く売りたい」のか、「できるだけ早く売りたい」のかによって、適した売却方法は異なります。
10.売却期間を考えて価格を設定する
「少しでも高く売りたい」と考えるのは当然です。
しかし、相場より高すぎる価格で売り出すと、問い合わせが少なくなり、売却期間が長期化する可能性があります。
売却期間が長くなると、最終的に価格を下げることになり、結果として希望価格より安く売却することになるケースもあります。
そのため、「いつまでに売りたいのか」を最初に決めておくことが大切です。
11.売却を急ぐあまり、安く売りすぎない
一方で、「早く売りたい」という理由だけで極端に安い価格を設定するのも注意が必要です。
不動産は高額な資産なので、数%の価格差でも大きな金額になります。
急いで売却する必要がある場合でも、周辺相場や複数社の査定を確認して、納得できる価格で売却することが重要です。
12.媒介契約の内容を確認する
仲介で売却する場合、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分に合った契約を選びましょう。
13.売買契約書をよく確認する
売買契約を締結すると、簡単に条件を変更することはできません。
契約前に確認しておく重要なポイントをまとめました。
- 売買価格
- 手付金
- 引き渡し日
- 契約解除に関する条件
- 契約不適合責任
- 付帯設備
- 土地の境界
- 残置物の処分
分からない内容があれば、そのまま署名せず、不動産会社に説明してもらうことが大切です。
14.手付金や決済条件を確認する
売買契約時には手付金が設定されることがあります。
また、契約から決済・引き渡しまでの期間や、残代金の支払い方法なども確認しておきましょう。
特に住み替えの場合は、売却と購入のスケジュールを合わせる必要があります。
15.売却後の確定申告について確認する
不動産を売却した場合、売却益が発生したかどうかを確認する必要があります。
税金の特例を利用する場合にも、確定申告が必要になるケースがあります。
「利益が出ていないから何もしなくていい」と自己判断せず、自分が利用できる制度や申告の必要性を確認しましょう。
税金について不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することもおすすめです。
不動産売却でよくある失敗
不動産売却では、次のような失敗が起こりやすいため注意しましょう。
失敗1:一番高い査定会社に決めてしまう
査定価格が高いことだけを理由に不動産会社を選ぶと、後から価格を下げることになる可能性があります。
失敗2:相場より高く売り出して売却期間が長くなる
価格設定が高すぎると問い合わせが減り、売却のタイミングを逃すことがあります。
失敗3:費用を考えずに売却価格だけを見る
仲介手数料や税金などを考慮しないと、想定より手元に残る金額が少なくなることがあります。
失敗4:物件の問題を伝えない
雨漏りや境界問題などを把握している場合、適切に告知しないと売却後のトラブルにつながる可能性があります。
失敗5:売却方法を比較しない
仲介だけでなく買取という選択肢も比較することで、自分の状況に合った売却方法を選びやすくなります。
不動産売却で損をしないためのチェックポイント
売却前には、次の項目を確認しておきましょう。
- 周辺の不動産相場を確認した
- 複数の不動産会社に査定を依頼した
- 査定価格の根拠を確認した
- 不動産会社の売却実績を確認した
- 仲介と買取を比較した
- 売却にかかる費用を確認した
- 税金について確認した
- 物件の不具合や問題を整理した
- 希望する売却時期を決めた
- 契約内容を確認した
- 売却後の確定申告について確認した
不動産売却は「価格」だけでなく「手取り額」で判断する
不動産売却で重要なのは、単純に高く売ることだけではありません。
例えば、売却価格が3,000万円でも、仲介手数料や税金などの費用が発生すれば、その全額が手元に残るわけではありません。
そのため、売却価格-売却にかかる費用-税金=最終的な手取り額という考え方が重要です。
また、「高く売れる可能性」と「早く売れる可能性」は必ずしも両立するとは限りません。
自分が何を優先したいのかを明確にしたうえで、売却方法や不動産会社を選びましょう。
まとめ|不動産売却は事前準備が成功のポイント
不動産売却で失敗しないためには、査定額だけを見て不動産会社を決めるのではなく、相場、売却方法、費用、税金、契約内容まで総合的に確認することが重要です。
- 複数の不動産会社を比較する
- 査定価格の根拠を確認する
- 相場を把握する
- 仲介と買取を比較する
- 売却にかかる費用と税金を確認する
- 契約内容を理解する
- 最終的な手取り額を考える
「できるだけ高く売りたい」「早く売却したい」「古い家や空き家を売りたい」など、不動産売却の目的は人によって異なります。
だからこそ、まずは自分の不動産の価値と売却方法を正しく把握することから始めましょう。
不動産を売却するときの注意点は個々に違いがあるため、売却に強い不動産会社へ相談するのが近道です。
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