相続空き家を仲介で売却する
相続した実家や空き家を「このまま所有し続けるべきか」「売却したほうがいいのか」と悩んでいる方は少なくありません。
特に、相続した空き家が遠方にある場合や、長期間誰も住んでいない場合は、管理の手間や固定資産税、建物の老朽化などが負担になります。
こうした相続空き家を売却する方法の一つが不動産会社による仲介です。
仲介では、不動産会社が購入希望者を探し、売主と買主の間に入って売買契約を成立させます。
一般的に、売却期間に余裕があり、できるだけ市場価格に近い金額で売りたい場合は仲介が有力な選択肢です。
一方で、早期売却を優先する場合や、古家の状態によっては「不動産買取」が適しているケースもあります。
そのため、相続した空き家では「仲介か買取か」を物件の状態や売却事情に合わせて判断することが重要です。

相続した空き家を売却する前に確認すること
相続した空き家は、通常の不動産売却とは異なり、最初に確認しておきたい事項があります。
特に重要なのが以下の5つです。
1.相続人は誰なのか
不動産を売却するには、原則として所有者による手続きが必要です。
相続人が複数いる場合は、誰が不動産を取得するのかを遺産分割協議などで整理しておく必要があります。
「兄弟のうち一人が代表して売ればいい」と考えていると、後から手続きが複雑になることがあります。
2.相続登記は済んでいるか
2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが原則必要です。
空き家を売却する場合も、誰が所有者なのかを登記上明確にしておくことが重要です。
3.遺産分割協議がまとまっているか
相続人が複数いる場合、空き家を誰が相続するのかを明確にしておきましょう。
売却代金を誰が受け取るのか、売却にかかる費用を誰が負担するのかについても、事前に話し合っておくことが大切です。
4.空き家の状態
相続した家が長期間空き家になっている場合は、雨漏り、シロアリ、設備の故障、越境、残置物などの問題が隠れている可能性があります。
売却前に建物や土地の状態を確認しておきましょう。
5.税金の特例が使えるか
相続空き家の売却では、一定の要件を満たすことで、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる場合があります。
現在の制度では、一定の要件を満たし、2027年12月31日までに売却する場合が対象とされています。なお、2024年1月1日以後の譲渡で、取得した相続人が3人以上の場合は控除額が最高2,000万円となります。
ただし、この特例には建物の築年数、売却方法、空き家であった期間、売却金額など複数の要件があります。
「相続した空き家だから3,000万円控除が使える」とは限らないため注意が必要です。
相続した空き家は「仲介」と「買取」のどちらがいい?
相続した空き家の売却方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」があります。
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の購入希望者 | 不動産会社 |
| 売却価格 | 市場価格に近づけやすい | 仲介より低くなることがある |
| 売却期間 | 買主を探す必要がある | 比較的早い |
| 内見 | 必要になることが多い | 少ない・ない場合もある |
| 建物の状態 | 条件次第で売却可能 | 古家でも相談しやすい |
| 向いている人 | 高く売りたい人 | 早く手放したい人 |
高く売るなら仲介
仲介の最大のメリットは、一般の購入希望者に向けて売却活動を行えることです。
立地や土地の形状、建物の状態によっては、買い手同士の競争が生まれ、より有利な条件で売却できる可能性があります。
一方、売却まで時間がかかる可能性がある点には注意が必要です。
早く売るなら買取
不動産買取では、不動産会社が直接買主となるため、購入希望者を探す期間を短縮できます。
「遠方に住んでいて空き家の管理ができない」「建物がかなり老朽化している」「できるだけ早く現金化したい」という場合には、買取が適していることがあります。
相続した空き家を仲介で売却する流れ
相続空き家を仲介で売却する場合、一般的には次のように進みます。
STEP1:相続関係を整理する
遺言書の有無や相続人を確認します。
STEP2:相続登記を確認する
売却する不動産の名義を確認し、必要な場合は相続登記を行います。
STEP3:不動産会社に査定を依頼する
空き家の所在地、土地面積、建物面積、築年数、接道状況などを確認したうえで査定を受けます。
STEP4:仲介を依頼する不動産会社を選ぶ
ここが非常に重要です。
単に「査定額が一番高い会社」を選ぶのではなく、「なぜその価格で売れるのか」を説明してもらいましょう。
STEP5:媒介契約を締結する
不動産会社と媒介契約を締結し、販売活動を開始します。
STEP6:購入希望者を探す
広告掲載、問い合わせ対応、内見などを通じて買主を探します。
STEP7:売買契約
購入希望者と条件を調整し、売買契約を締結します。
STEP8:決済・引渡し
残代金の受領、所有権移転、物件の引渡しなどを行います。
STEP9:確定申告
譲渡所得が発生する場合や、3,000万円特別控除などの特例を利用する場合は、確定申告が必要になります。
相続空き家の売却でかかる費用
相続した空き家を仲介で売却すると、さまざまな費用が発生します。
代表的なものが、仲介手数料ですが、そのほかにも発生する費用があります。
- 登記関係費用
- 印紙税
- 測量費
- 解体費
- 残置物処分費
- ハウスクリーニング費
- 必要に応じた修繕費
- 譲渡所得税・住民税
特に相続空き家の場合、売却前に「解体したほうがいいのか」「そのまま売ったほうがいいのか」を慎重に判断する必要があります。
相続した空き家は解体してから売るべき?
これは相続空き家で非常に多い相談です。
結論として、必ず解体してから売る必要はありません。
古家付き土地として売却する方法もあります。
むしろ、買主がリフォームして利用できる物件であれば、建物を残したほうが買主の選択肢が広がる場合があります。
反対に、建物の老朽化が著しく、建物を使用することが難しい場合には、更地にしたほうが売却しやすいケースもあります。
そのため、「古いからとりあえず解体する」という判断は避けるべきです。
解体費をかける前に、複数の売却方法を比較しましょう。
相続空き家の3,000万円特別控除とは?
相続した空き家を売却するとき、特に確認しておきたいのが「空き家の3,000万円特別控除」です。
一定の要件を満たした場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
ただし、誰でも利用できるわけではありません。
例えば、対象となる家屋には一定の建築要件があり、原則として相続開始から売却まで事業・貸付け・居住などに使用されていないことなど、複数の条件があります。
また、売却代金が1億円を超える場合など、特例を利用できないケースがあります。
そのため、売却活動を始める前に税理士や税務署、不動産会社などに確認しておくと安心です。
相続した空き家が売れない主な理由
「仲介で売り出したのに、なかなか売れない」というケースもあります。
代表的な理由は以下のとおりです。
売出価格が高すぎる
相場より高い価格で販売すると、問い合わせそのものが少なくなる可能性があります。
建物の状態が悪い
雨漏りや老朽化、残置物などが多い場合、購入後の負担を懸念する買主が増えます。
土地に問題がある
再建築の可否、接道、境界、越境などに問題がある場合、買主が限定されることがあります。
相続人間の意思統一ができていない
売却条件について相続人間の意見がまとまっていなければ、売却活動が進みません。
不動産会社が物件に合った販売戦略を取れていない
不動産は「査定価格を出せば売れる」というものではありません。
相続空き家の場合、誰に売るのか、建物をどう見せるのか、解体するのか、価格をどう設定するのかといった販売戦略によって結果が変わることがあります。
相続空き家の仲介会社を選ぶ5つのポイント
相続空き家を売却するときは、会社選びが非常に重要です。
① 査定価格の根拠が明確
「この価格なら売れる」と言うだけではなく、周辺の成約事例や競合物件などを踏まえて説明してくれる会社を選びましょう。
② 空き家・相続不動産の売却実績がある
通常の居住用マンションや戸建とは、相続空き家の売却では確認すべきポイントが異なります。
相続・空き家・古家付き土地などの取り扱い実績を確認しましょう。
③ 売却方法を一つに決めつけない
「仲介しかできない」「買取しかできない」という会社より、仲介・買取・古家付き土地・更地などを比較して提案できる会社のほうが、売主に合った方法を選びやすくなります。
④ 税金や相続の注意点を説明してくれる
不動産会社が税務判断をすることはできませんが、3,000万円特別控除などについて「確認すべきポイント」を説明してくれる会社なら安心です。
⑤ 「高く査定する会社」ではなく「売れる価格を説明できる会社」
査定額が高いからといって、その価格で売れるとは限りません。
複数社を比較するときは、査定額ではなく、販売価格の根拠と販売戦略を見ることが大切です。
相続空き家は早めに売却を検討したほうがいい
空き家は所有しているだけでも、管理や固定資産税などの負担が発生します。
さらに、建物を長期間放置すると老朽化が進み、売却時に修繕や解体などの追加費用が必要になる可能性もあります。
また、相続空き家の3,000万円特別控除を検討している場合は、適用期限や要件を確認しながら売却スケジュールを組むことが重要です。
現在の特例は一定の要件のもと2027年12月31日までの譲渡が対象です。
「いつか売ればいい」と放置するのではなく、まずは現在の売却価格を把握しておくことをおすすめします。
まとめ|相続した空き家の売却は査定から
相続した空き家は、「いくらで売れるのか」を把握しないことには、仲介と買取のどちらが良いのかも判断できません。
また、「古い家だから売れない」「地方だから買い手がいない」「相続した家は安くしか売れない」と最初から決めつける必要もありません。
土地の価値、立地、接道、建物の状態、周辺の成約事例などを総合的に判断することで、想定以上の価格で売却できるケースもあります。
相続した空き家の売却を検討しているなら、まずは不動産会社に査定を依頼し、仲介・買取・古家付き土地・更地など、それぞれの売却方法を比較することが重要です。
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